いつもは書き終わってからタイトルを決めるのですが、今日は最初からこのテーマで書きます。
我が家の五匹目の猫、黒猫のクロード、彼は今からほぼ二年前にやってきました。
なにかと差しさわりがあるもので詳細は省きますが、彼は以前とある家庭に飼われていた猫です。
ただ、普通の家猫と違ったのは、(知っているだけで)一年以上、オリの中に閉じ込められていたということです。
飼い主が虐待していたわけでは決してありません。
暴力を受けていたわけでもありません。
ご飯はきちんと与えられていました。
では何故、外に出してもらえなかったのでしょうか。
彼にはあるレッテルが貼られていたのです。
「凶暴猫」
これが彼のキャッチフレーズです。
今でこそそんな偏見はありませんが、彼は黒猫です・・・
肌の色・・・毛の色か・・・で差別するわけではありませんが、(ちょっと不気味な)エドガー・アラン・ポーの世界です。
おまけに彼の右目は白く濁っています。
そして、そんな期待を(?)裏切らないかのように、彼はうちへきても、まるで獲物を横取りされそうなハイエナのように、四六時中「うなって」いました。
(これはハイエナに対して、実に失礼な偏見ですよね。
根拠は、私が「ライオンキング」に出ていたというだけのことです・・・(笑))
黒猫、片目、うなり声・・・これでオウムを肩に乗せていたら、猫界の「ジョン・シルバー」です・・・
「それで・・・?」
我が家へ保護して三ヵ月。
彼はオリの中にこそ入れられませんでしたが、奥のパソコン部屋に軟禁されました。
とりあえず、名前を付けなくてはなりません。
以前の家で、彼はクロと呼ばれていました。
しかし、せっかく我が家へ来たのだから、そのままでは「けじめ」が付かないし、かといって、ジョン・シルバーじゃふざけすぎています。
あいだを取って(どんなあいだじゃ!)クロードにしました。
かの高名なクロード・ミッシェル・ショーンベルグ氏(「レ・ミゼラブル」の作曲家)と同じ名前で、典型的なフランス人の名前です。
しかし、こんな気づかいにもかかわらず、横浜のフランス猫は「ささみ、かつお節、モンプチ・ゴールド」のフル・コースを運んでも、相も変わらず鋭い目つきでうなっていました。
それもフーッとかではなく、もっと低い声の、グルルルーッという威嚇の声です。
取り付く島もないとはまさにこのこと、人など全く受け入れる余地がありません。
あれ・・・
「人など・・・」・・・人・・・ひと・・・そうか・・・!
ドアの向こうには、三ヶ月も前から「謎の気配」に興味津々、すでに黒山の人だかり・・・あ、いや、猫だかりです。
思い切って、ドアを開けてみました。
すると!
脱兎のごとく飛び出すクロード!!
真っ先に行った相手は、我が家の優しいボス、がんじろうです。
危ない!喧嘩する!!!
・・・と、思いきや・・・
なんということでしょう。
あの、ついさっきまでの「グルルルーッ!」が・・・
「グルグルグル」に変わったではありませんか!
「猫うなり声」が「猫なで声」に急変したのです。
そうです。人より猫が好きだったのです。
初対面のがんじろうと「凶暴猫」クロードが思い切りじゃれあっています。
人が変わった・・・いや、猫が変わったかのようなクロード・・・
じゃれあうチャタロー、クロード(黒くてよくわからない・・・)
あれから二年。
あのクロードが今では・・・
ソファに座っている私の隣に、なんの前触れもなくやって来て、いきなりグルグルなついてきたりするんです!
えっ・・・!?
あのジョン・シルバーが・・・
海賊から介護ボランティアに転職した。
なんだかよく分かりませんが、そんな感じです。
そして、この「唐突な親愛」をわたしは・・・
実は、照れくささ半分、じわじわ喜んでいるのです。
と、言ったって、こんなこと一年に一回ぐらいのことなんですけどね。
その後、何匹も保護した仔猫が我が家へやって来ましたが、面倒を見るのは決まってがんじろうと、そして、クロードです。
今いるチャタローもそうですが、取っ組み合いでじゃれています。
一度、チャタローの爪が引っかかって、クロードの白濁したほうの目が腫れてしまいました。
病院で治療して事なきを得たのですが、そんなことにもかかわらず、今もふたりはじゃれあってています。
しかし、よく見ると、クロードは決してチャタローを傷つけないように爪を出していないのです。
あいつ、本当はいいやつなんです。
黒猫、片目、うなりの「凶暴猫」。
そんなレッテル、はがすのはとても簡単なことですね・・・

クロード