11月26日(金)DOCOMOMO会員限定による長沢浄水場の見学会が行われました。
当日はあいにくの雨でしたが25名もの方にお集まりいただきました。

▲正面

▲操作回廊
3階会議室にて(株)山田守建築事務所の宮原浩輔氏と同・構造担当の山根進氏より改修工事のご説明がありました。以下はその概要です。
構造■耐震改修について建物のイメージを壊すものは避け、建物自体の重量を減らすことと、RC補強壁の増設による方向で検討した。
→3階を鉄骨造とする案もあるがデザイン重視の理由で採用しなかった。
→内部で可能な部分に壁厚さを付加したり、新規に補強壁を設置したが、下の階で壁が抜けることが無いよう上下階の配置にも留意した。逆に必要無い所の壁 は重量軽減の為撤去を行った。
→3階にあった洗浄水槽室(高低差を利用した水圧によるろ過池の洗浄水用)を撤去し、敷地南東端に鋼製高架水槽を設置した。水槽室は3階北側の40%を占め、800tの水を300mmの壁と床で直接支持する構造であったため、重量的にも、剛性的にもアンバランスを解消する必要があった。
→屋上塔屋部分も階段に必要なだけ残して撤去した。(削除部分の柱頭は屋上に残っている)
意匠■前回の改修ではオリジナルが相当壊されたので、コストの可能な限り復活を試みた。
→特徴的なカーテンウォールは縦桟(マリオン)のピッチを元に戻した。コストの関係でアルミ電解着色にせざるを得なかったが、オリジナルに近づいたとおもう。
→マッシュルームコラムに内蔵された雨樋はそのまま利用した。
→操作廊下に載っていた折板は撤去し、防水をやり直した。エキスパンションは30mmから100mmに広げた。
→外部打放し面は耐久性を重視して吹付けを行った。
→外壁のモルタル櫛目引きは、今ではできる職人もいなくなってしまったようで、似たようなテクスチュアの仕上げ塗り材を指定したが、現場の施工は満足できるものになっていない。 (私たちは設計のみで、監理は受託せず)
→縦桟に変えられていた手すりは昔の意匠(横桟)に戻した。但し、見学者が出る屋上については横桟では乗り越えられてしまう恐れがあり危険な為、内側にステンレスのネットを付加している。
→バルコニー床はスラブを薄く見せる為に先端方向に向かって水勾配がある(垂れ流し)が、山田の意図を重視して水切りを設けてそのままにした。
→オリジナルの写真がモノクロの為に情報が無く、塗装色については悩んだ。(オリジナル操作廊下のマッシュルームは光沢のある「カシュー塗り」だったようだ)
→1957年の建設当時は事務所が忙しかった時期で当時を知る所員もあまり記憶が定かでなかった。
→日本武道館もそうだが建物は使われて愛されることが保存の大きな動機になるのではないか?
今回の改修工事で山田守建築事務所は設計だけで監理が出来なかった為、上手くいかなかった所もありますが(操作廊下天井の配線ダクトやモルタル櫛引の表情に難点)東京都水道局の協力もあり、約50年前の建築がまるで最新の建築のようによみがえりました。関係者の方々に感謝します。