プロフィール
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日記・歴史担当:留美 東京在住

2009/3/25

若紫 U  源氏物語

 山の春は日が長く、夕暮れになって山が薄霞に包まれてしまった頃になると、光源氏は、先ほど眺めた小柴垣の家に惟光だけを供に行ってみることにしました。


 その家の西側に持仏を据えてお勤めをする尼君がいるのが見えました。四十才あまりのその尼君は、痩せてはいるが色が白く上品な感じを受け、ただ人とは到底見えませんでした。その他にも、女房が二人と部屋に出たり入ったりして遊びまわっているらしい子どもの姿も見えました。その中に、他の子どもとは少しばかり様子の違った子どもがいて、将来はどんなにかと成長が楽しみになるほどの愛らしい容貌でした。泣いた後なのだろうか、手で擦ってしまって赤くなってしまった顔のまま尼君のところにくるのでした。その様子を見ると少し尼君と似通ったところがあるので、尼君の子どもなのだろうと光源氏は思ったのでした。
 「伏籠に入れておいた雀の子を犬君が逃がしてしまったの」と、口惜しそうに打ち明けた少女に、尼君は「いつまでも子どもっぽくって困ったわ 私が今日明日の命と思っているのに、雀のことにかまけて・・」と嘆くのでした。光源氏はふと、この少女に愛している藤壺の姿を思い出してよく似ていると思わず涙かこぼれるのでした。
 そこへこの家の主らしい僧都がやってきて、この辺りの寺に光源氏が来ていると告げるのでした。尼君はいままで開け放たれていた部屋の御簾を急いで下ろさせ、このような有様を誰かが見たのかもしれないと言うのでした。
 光源氏はなんと幸運なことに可愛らしい少女を見つけることができたと、京を出てこの山里にきたことを喜ぶのでした。どういう素性の人だろうか、ぜひあの人の代わりに側においてみたいとも思うのでした。
 そこへ先ほどの家の僧都がきて、ぜひ我が家に逗留されたいとの申し出に、光源氏は躊躇するもののあの心ひかれた少女のことを知りたいと思い、僧都の房へと移ったのでした。
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