プロフィール
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2009/2/23

夕顔 W  源氏物語

 そうしている間にも、惟光は隣家についての情報を逐一光源氏に報告するのでした。それによると、どうやら隣家に仮住まいしている女は、あの「雨夜の品定め」の時に、光源氏の親友である頭中将とうのちゅうじょうが話していた「常夏の女」であるらしかったのです。


 頭中将には女の子までなした女がいましたが、正妻の実家から嫌がらせを受けて、姿をけしていたのでした。どうやらその女が、あの扇の主であるらしいのでした。
 ここでも惟光が色々取り持って隣家へ光源氏を通わせることに成功しました。 光源氏はわざと質素な身なりや徒歩で身分を隠し、顔を隠して女の下へ通うのでした。女の方もどんな身分の人なのかと使いの者の後をつけさせたり、男の帰りを着けさせたりもしたけれども、光源氏の方が一枚上手だったようで、うまくはぐらかしたりしてつけさせなかったのでした。
 光源氏はこの女、夕顔の君がいたく気に入った様子で、足しげく通ううちに自邸の二条院へ連れて行こうかとも思うほどになるのでした。夕顔のいる家の辺りは庶民の家が大半ですから、明け方にもなると周囲から生活音のざわめきが色々聞こえてきます。下男たちの話す声、布を打つ砧の音、雷よりもやかましくごろごろとな鳴る石臼の音にはさすがの光源氏も「やかましい」と思いますが、普段聞いたことのないさまざまな音があふれる下町の情景を、なんだか楽しんでいる風にも見えます。ですが、そんな様子を見て夕顔は気恥ずかしく思えるのでした。
 おっとりとしていて愛らしい夕顔に心ひかれ、もっと寛いだところで一緒にいたいと思った光源氏は、夕顔の側使えの右近だけを伴わせ出てゆくのでした。
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