2008/6/1
日本史上初めてといえる長編小説「源氏物語」はまた、日本史上初の女流作家・紫式部むらさきしきぶを誕生させた物語ともいえます。
この物語の成立はおよそ千年前、平安時代の藤原道長ふじわらみちながが権勢を振るっていた時代にあたります。詳しい成立年はまだ判っていませんが、紫式部の日記に、寛弘五年(1008年)に「源氏の物語の若紫」と紫式部が呼びかけられたとあり、これ以前にはすでにある程度の物語が描かれ、宮廷などで読み語られていたと思われます。
それ以降、数々の写本となって読み継がれ、近代では与謝野晶子や円地文子、谷崎潤一郎らが現代語訳に取り組み、1996年には瀬戸内寂聴さんが全十巻の見事な現代語訳を刊行しました。また、海外でも日本文学の代表として、多くの言語に翻訳され、大変人気のある物語となっています。その他にも源氏物語を題材にした物語や漫画、テレビドラマ・映画、演劇・歌舞伎・能・浄瑠璃など、多岐にわたるジャンルにこの物語は浸透しているのです。
さて、この物語の作者である紫式部は、源氏物語の作者としてのみではなく、中古三十六歌仙に一人としても数えられる歌人でもあります。一条帝の宮中で中宮・藤原彰子ふじわらしょうしに女房として仕えました。父・藤原為時ふじわらためときが式部大丞であったことから、「藤式部」と女房名を付けられました。のちに「紫式部」と呼ばれたのは、源氏物語の登場人物「紫の上」が由来でした。
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