張栩五冠王は世界のトップ棋士と同じように、序盤では時間をできるだけ使わずに打ちます。
もちろんスケジュールがきついので、体力を温存するという理由もあるわけですが、やはり世界のトップ棋士がそうであるように、勝つための時間の使い方として意識しているようです。
以下、2009年1月12日放送の囲碁パラトークより(括弧内は筆者による補足)
- 佐野:張栩さんの対局におけるポリシーとして僕なんかが見て顕著なのは、時間の使い方なんですよ。
わかりやすく言ってしまえば、終盤に必ず時間を残しておく。
それもかなり余裕あるように。
まず、これはなぜかというところから教えてもらえますか?
- 張栩:うーん、まぁ勝つためですかね。
やっぱり今世界のトップ棋士を見ても、みんな早打ちなんですよね。
世界戦の持ち時間も少ないし、特に古力さんとかイセドルさんは本当に早いんですよね。
やっぱり全体的に世界のレベルは非常に高くて、まぁ日本でもそうですけど、トップ棋士と戦ったらやっぱり何ていうのかな…そんなに勝率よく勝ち越せるものではないと思うんですけど、ただ彼らを見てるともう信じられないような勝ち方をしているので、いい碁は勝つし、悪い碁でもやっぱり最後は勝つような…。
それができるのは、やっぱり時間をうまく使ってるからだと思いますね。
- 佐野:つまり勝負はやはり中盤から終盤にかけての場面で決まる…そこの要素が大きいというということなんですか?
- 張栩:ま、そんなに単純なものでもないんですけど、でもやっぱりその何ていうのかな…自分の能力(を)鍛える中でやっぱり早く打てるということも凄く大事なところなんですよね。
やっぱり早く打って(早く打つことによって、逆に)少しでも悪い手を打ってたら、(それで)碁が苦しくなっては全然意味がないですから、やっぱり早く打っても間違えない、そしていい手が打てる、それはそういう何ていうのかな、その習慣ていうか、訓練をしてくるかどうか…うーん…。
そうですね、やっぱり自分でもそうですけど、時間なくなって秒読みに入ると、全然思い通りに打てないんですよね。
割と(自分は)早碁が得意な方かもしれないんですけど、それでもやっぱり(早碁では)明らかに自分が納得いかない手を打ってしまうので、まぁほとんどの棋士がやっぱり秒読みに入ったらある程度は間違えるん(ん→もの)だということは、自分の感覚からしても、あといろんな方と戦っても、やっぱりそういうふうに思うので、なるべくそういう秒読みに入るのは、本当に何ていうのかな、できる限り避けたいし、逆に相手が秒読みに入ればある程度のミスは期待できるというか、期待するというわけでもないんですけど、まぁでもミスする可能性が高くなるので、後半で少々苦しくてもまた勝負形になるかもしれないという…。
- 佐野:その早打ちを可能にしているのは、張栩さんがいかに普段から序盤を研究しているかということなんですよ。
そこはぜひ強調しておきたいんですけど、適当に打ってるわけでも何でもなくて、普段から人一倍、人の何倍も序盤を研究してるから序盤が早く打てる、そこも僕(は)張栩さんの凄いところだと思ってるんで。

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