地面と高いひさしの間大雨が白い滝の列柱を生む
生き物のようにゆらぐ液体は逃げ惑う人々に浴びせかかる
強い風は雨滴を自在に操りあらゆる窓から入り込もうとする
人は恐れて扉から引っ込み窓は一斉に閉じられる
天と地との間に雨粒が煙のように充満する
くすんだ窓ガラスを通して川と化した壁を眺める
液体は下へ下へと這い下りあらゆる窪みあらゆる隙間へと流れ込む
青い紫陽花が雨の重みに頭をしならせ風に激しく揺さぶられながら
たった今そこを歩いていた蟻や飛び交っていた羽根虫が
傾斜した路面に押し流されていくのを術もなく見つめている
昼過ぎの束の間に襲った風雨は去った
うなだれた木々に小鳥が現れ
ひさしに垂れる名残の雨音
ビニール傘の水滴を払い車に乗り込む
端の湿ったアスファルトをタイヤで拭って街から戻る
夜霧漂うスロープへ入ると幻のように青い紫陽花の横顔が浮かび上がった
樹木の吐息が伝わるひんやりとした空気の中を進んで行くと
住まいは絹モスリンの幾重もの幕に覆われていた
夜霧の中に包み込まれ外界の音は届いても不可視のひどく隔たった場所に
今、しめやかに微かな風が流れている
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