金魚の死因は、窒息。理由は、誰も知らない。
カウンターに置かれた、直径25センチほどのガラス製水鉢に入れられたのは、約5年前。他の露店産金魚は皆、まもなく死んだが、一匹だけが生き延びた。
体長は、約13センチ。水草はないものの、鉢底に那智黒がいくつか置かれていた。
主人は、体に合わせて大きな水鉢に変えることも考えたが、場所を取るからと、そのまま金魚に我慢してもらうことにした。
カウンターで食事をする度、この大きな金魚が元気よく狭い水中を泳ぐ様を見ていた。時には餌を食べており、時には水面に顔を出した。
手伝いの女の話では、それは、先週の火曜日だった。
主人がいない間に、水槽から飛び上がり、床に転がった。恐らくは、一度テーブルに落っこちて、ばたばたと跳ねもがき、床へと転落したのだろうと女は言った。
一体何が、あの金魚を水鉢から飛び出させたのか。猫の亡霊、想像も付かない。
擬人化してみれば、金魚の自殺。
金魚の死は、予兆なのだろうか。
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