前回、自分を表現する四字熟語を探してみようと言ったでしょ。探してみたかな。
私が、自分の性格を表す四字熟語を探して浮かんだものは全て板書するから、もし、探せなかったら、それから選んでもいいよ。
10分くらいで、辞書から「私の四字熟語」を探してみて。後で聞いていくからね。
天衣無縫・天真爛漫・明朗闊達・自由闊達・直情径行・独立独行・孤立無援・自分勝手・才色兼備・清廉潔白・純真無垢・悠々自適・大器晩成・優柔(遊)不断・猪突猛進・支離滅裂・誠心誠意・複雑怪奇・単純明快・頑固一徹・職務怠慢・仕事一途・精励恪勤・勤勉励行・神秘主義・自然主義・超越主義・個人主義・民主主義
他にももっとあるんだと思うけれど、語彙が乏しいゆえ浮かんできません。連想したもの対義語、主義も挙げました。
あ、今、…さんの容姿から思い浮かんだ四字熟語がありました。
美人薄命、でも、…さんが不幸になるというわけではありませんよ。
「先生を表す言葉があります」 どんな言葉。 「明眸皓歯です」 わあ、それは、以前辞書で引いたことがあったなあ。褒め言葉だよね。嬉しい。そんな素敵な言葉を見つけて贈ってくれて、どうもありがとう。「いえ、どういたしまして」 それと同じ意味で、容姿端麗という言葉もあるよね。美辞麗句かな。
20分ほど、学生たちは、電子辞書や冊子辞典に向かっている。「お前の四字熟語見つけた」という声も聞こえてくる。
それでは、一人一人聞いていこうかな。…さん。
「虚心坦懐(平気)」 どんな意味。 なるほど。いい言葉だね。
「優柔不断」 八方美人じゃないの。 私も優柔不断だけれど、短期的には一途なの。
「内股膏薬」 すごい難しいことばだね。以前調べたことがあったかも。どんな意味。付和雷同にも通ずるね。
「温厚篤実」 いい言葉だね。その通り。よく見つけたね。
「最小限度」 それはどういう意味から。「最低限のことしかしないということです」 はあ。
「謹厳実直」 それは、目標なんだよね。「いえ、自分自身です」 ふむ。
「一心不乱」 一心不乱に勉強するのよね。「いいえ、野球です」
「薄志弱行」 それは、謙遜しすぎるんじゃない。もっといい面を表現できる言葉があるはずよ。まあ、自分を知ることから、弱さも強さに変えることができるから、いいか。
「疑心暗鬼」 不安なの。疑り深いんだ。そんな風には見えないけれど。
「一日三秋」 それは、どんな意味。思い慕う人がいるんだね。「はいそうです」 いいわね。一日千秋とも言うね。恋い焦がれているんだ。 「はいっ」
「五つありました」 いいよ、全部教えて。「テンジョウテンガ」 ほう。すごい思い切った言葉だね。天上天下はテンジョウテンゲと読みます。唯我独尊と合わせて、天上天下唯我独尊。これは、この世界で、私という存在は、誰とも換えることができない、唯一無二のものであるということ、命は一度きりであるという意味を含んでいます。聖徳太子が誕生した時に、右を上に左を下にだったかな、美術展でその像を見たけれど、忘れちゃった。指を天と地に向けて、こう言ったという伝説があります。
「次は、天下統一」 大胆だね。天下統一する前に、自己統一をしないとね。
「他には、二重人格」 ふうん。多重人格もあるね。そう、激怒した時に、鬼畜のようになったんだ。精神疾患の二重人格じゃなくてよかったよね。
こんな風に、それそれの目を見つめて言葉を交わし、笑いが興る。
「恬淡寡欲(無欲恬淡)」 そういう言葉があるんだ。よく見つけたね。無欲で、心が安らかな状態なのね。明鏡止水という言葉にも通じているね。いいなあ。
「雲煙過眼」 囚われのない心持なんだ。すばらしいね。そうありたいな。この雲煙から、雲煙飛動という言葉もあるね。そういえば、ほら、…さんのダイナミックで力強い字体は、正にこの言葉が当てはまるね。彼に伝えておいて。
「洒洒落落」 こだわりのない心なのね。三人は、共通しているね。
「自分は、枠にはまるのが嫌なので、ありません」 そういう性格を表す四字熟語がないかな。弊衣破帽はどうだろう。「それは、どういう意味ですか」 旧制高校だから、昔のエリートの、蛮カラな様子を示す言葉だけれど。ほら、太宰治みたいな。 「お父さんが、小学生の頃、短気だったと言ってました」 父が。 「はい、父がそう言ってました」 小学生の頃は、短気だったとお父さんに言われたんだね。短慮……、四字熟語が出てこない。見つけようよ。
「平和主義」 平和を愛するんだね。
「熟慮断行」 じっくり考えて、引っこんでしまうのではなくて、決して行うんだ。力強いね。百術千慮という言葉もあるね。
「狐疑逡巡」 …さんの疑心暗鬼に繋がるね。騙されないためには、疑り深いことも必要だね。でも、騙されていると分かっていても離れられないということもあるな。
「悠々閑々」 ぴったりの言葉を見つけたね。語り口にも表れているもの。
「弱肉強食」 それは、強者の方、それとも、時々弱者になって食われちゃうの。ずいぶん厳しい環境に身を置いているんだね。お疲れさま。
「初志貫徹」 志を立てたら、最後まで貫き通すんだ。立派だねえ。
「有言実行」 言ったからには実行しないと男がすたるね。さらに男らしい、不言実行もあるよ。
「三日坊主」 私もその口です。
「日進月歩」 なるほど、日々新たに、自己を高めているんだね。
「自己中心」 皆自分本位じゃない。でも、自分がそうなら、人の勝手も認めてあげないと。
堂々と、照れくさそうに、大きな声で、小さな声で。それぞれの表情と声色で、四字熟語に自分を託し、自分を伝え、認められることを知った学生たちの大半は、なんだかやさしい顔をして、嬉しそうだった。
多くの人が、自分を表現したがっている。自分を認めてもらいたがっている。そういう個々人の欲求を言葉によって引き出し結びつけることで、言葉による表現への探究心と楽しさが増す。四字熟語で自己表現をすることは、その一つ。
今日、「私の四字熟語」を見つけました。
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